ギョっとしてバット 登場する連中 扇 真花(おうぎ まか)→15歳。主人公。 闇吸 翼(やすい つばさ)→人の話をあまり聞かないコウモリ女。吸血鬼に非ず。 流貝 鱗奈(ながい りんな)→ぱっと見幼女、中身ドス黒の魚女。人魚に非ず。 第三話・アナタハモウニゲラレナイ はい、では今回も前回までのあらすじから参りましょう。 山が大好き真花君。 今年から高校生なので忙しくなると思ってお馴染みの山にやって来た彼を待っていたのは二人の女の子! 片やガラが悪くて乱暴な、翼ちゃん! そしてもう片方は夢見る純情少女の模造品、鱗奈ちゃん! そのどちらもが「自覚のないストーカー」という最悪な存在と知ってしまった真花君は…逃げました。 もう脱兎の如く。 そんなダメ男に対して、二人のダメ女はどんな行動に出るのか!!?? … あらすじってこんなだよね、うん。 前回?そうそう、担当替わったんですよ。 あんな短いのは無いだろうって…グスン。 …ナレーション陣の裏話は兎も角、本編を開始致しましょう。 おやおや、いきなり真花君はすっごい顔で走ってますよ? 可愛らしいハズのお顔をあんなに崩して…っとその後方からこれまたぐちゃぐちゃの顔の妖怪が二匹!! 大方の予想通りの展開の模様ですね、ハイ。 「うおおおおおおお!!」 「待てええええええ!!」 「逃がすかああああ!!」 当然、逃げたアホウは追われることに。 「ひい〜何なんだよ〜…女こええ!!ってツバサとかいうコ、飛んでない!?どうなってるの!?」 ここに来てようやく妖怪女が本性を見せました。 そして空から追われた人間が逃げられるはずもなく、逃亡発覚からわずか5分であえなく逮捕となりました。 「さて、真花…白黒はっきりつけようか?」 翼さん、目が真っ赤です。 おまけにすっごい鋭い…見事に正体出てますよ? 「よりによってオレら置いて逃げるたァなァ…どういうつもりだ?ああ!?」 「ひ、ひぃ〜!許して下さい!お願い!殺さないで〜」 「オレがなんでお前を殺すんだァ!?オレの愛はお前に100%なんだぞ?分かってンのか!?オレは、お前が男のクセにかよわい女を置  いて逃げた事を怒ってンだよ!!」 「(知るか〜!!大体貴女はかよわくありましぇーん!!)」 とても口には出せないが、正論です。 「まあ、今ここでオレを来れば取り敢えずは許してやるよ…さあ、レッツg」 「鱗奈断罪キーック!!」 「ぎゃあう!!」 まあお約束。 抜け駆けする者される者が入れ替わりました。 「大丈夫だった?真花君!鱗奈、心配しちゃったよぅ…」 鱗奈さん?演技はもう要りませんよ? とっっっっくにバレて… 「あ、ありがとう…」 …ねえのかよ。 今の強烈なキックが見えていなかったのか?このバカ男には。 「さ、私と行こ?私だけの秘密の場所に連れてってア・ゲ・ル♪」 「え、いや、その…(このコもストーカーだし!)」 そうですね。 根本的な部分でもうダメですもんね。 結局はさっきのコウモリ女と同類な訳ですから…色々な意味で。 「行こうよ〜?私、もう貴方しか見えないの…だからあんな女は忘れて?ネ?」 「(だからあのコとも君とも何もないんだって!勝手に恋人の位置にしないで下さい!)」 「ほ〜ら、立って立って!手を繋いd」 「うらァ!!」 「!!??」 復活の翼。 咄嗟に気付いて避けた鱗奈。 またも戦いのゴングが鳴らされようとして… 「いい加減にしてくれ!!」 大声を出したのはボロッボロの真花少年。 どうやら翼のパンチをモロに喰らったみたいです。 「何なんだよ!さっきから!聞いたらお前ら二人とも勝手に俺を恋人みたいに決めやがって!お前みたいなの何て言うか知ってるか!?世  の中じゃ「自覚のないストーカー」って言うんだよ!!一番最悪だ!相手のこと考えないで自分の妄想を押し付けて…もう俺に関わるん  じゃねえ!!うわーん!!」 最後がえらく情けないですが、キチっと言うべきことを言って真花少年は山の奥に走って行きました。 残された二人はと言うと… 「オレが…ストーカー…??はは、そんな…」 「最悪…?押し付け…?私が…?」 ようやく自分が如何にダメな女だったかを気付かされたみたいですね。 こんなに落ち込んで… 「そうか…愛が足りなかったんだな…ストーカーレベルと思われていたとは!!もっと愛を強く表現しないと恋人レベルと思ってもらえな  いんだな!?くっそー…オレとしたことが情けねェ…よし、お前の気持ちに応えるぜ!!」 「まだまだ未熟だったのか…もっとプリティにキュートにならなきゃ…!!ちょっと恥ずかしくて完璧に彼女らしさを出せなかったのがマ  ズかったのね。うん、全力で行くわ!!待っててね!!」 あー…ご愁傷様、真花少年。 心底ダメな女に好かれた君は自分を呪うしかないよ、もう… 大体ね、山の奥に走っちゃダメ。 ここはもう諦めて山を下りなきゃ! 「あーくそ!カワイイ女の子と知り合えたかと思ったらコレだよ…さすがにアレだけ言えば追って来ないよな…?」 もうカッコつける余裕もなく、すっかりビクビクして情けなくなった真花少年。 「…よし、来ないな!さて、ようやく楽しみ再開だ!何だかんだで走ったりしてる内に予定よりちょっと遅いだけで済んだし!」 何だか必死で自分に言い聞かせているみたいな言い方。 まあ間違いないでしょう。 「ふふ…真花…」 「…ノォーーー!!」 何時の間に回り込んだのか、真花少年の前にまたも悪夢一号…もとい翼が現れました。 「何だよ!もう来るなって言っただろ!?勘弁してくれよ!!」 「まあまあ、オレも反省したワケだ。」 「え?」 「いや、お前の気持ちに応えられなくて悪かったよ。もっと全力で愛を示すべきだったよな!」 「(ダメだあ!!一瞬安心した俺はバカだった!この女俺の話をマトモに聞いてねえ!!)」 頭を抱えるバカ男。 しかしまだあの魚女が来ていないんだから、今の内にそっちだけでもどうにかしたら? 「オレと空の旅をしようぜ!実を言えばオレ、コウモリ女でさ…ほら、飛べるんだぜ?」 「ああうん…知ってる…てかさっきそれで追いかけられたし…はは…」 「そーか!なら色々と面倒な説明しなくていいな!じゃあ早速行こうぜ?」 「(ここでハッキリしなきゃ永遠に追われる…よし!)あのさ、悪いんだけど俺はやめとくよ。」 「ええ!?何でだよー…そのままオレの家に連れてってメシとか風呂とかしようと思ったのによー。」 「えええ!?危ねえ!!あのさ!俺と君は今日初めて会ったわけで、まだ友達かどうかも微妙なわけ!そんなんでいきなりフレンドリーに  家にお邪魔したり出来ないでしょ?もうちょっとさ、よく考えて…」 「まあ気にすんな!細かいコトは何とかなるって!さ、行くぞ〜?」 「(全然俺の話を聞いてない!?ワザとか?素でか?いや、どっちにしろダメだ!よし、逃げよう!)」 結局お馴染みのパターンに行き着いたバカ男。 それで何回も失敗してるのに、まだ懲りないか。 「とう!!」 不意を突くためか、はたまた脳内がいっぱいいっぱいだったからか、どう見ても危ない斜面にダイブしたバカ男。 「しまったあああああ…」 「お、おい!人間がそんなコトしたらやべェだろ!何でそこで足を踏み外すんだよ〜」 何だか勘違いしたアホコウモリは、助けようと後を追う。 木々が他より多く乱立している場所だったので、苦労しているけれど。 「…あれ?俺…生きてる…」 途中で情けなく気絶してしまった真花少年が目を覚ますと、何故か斜面を転がり落ちたのに体に痛みがありません。 意識がはっきりしてくると、何やら彼の目には少女が映り始めました… 「大丈夫?真花君…」 鱗奈でした…他にいないでしょうって話ですが。 「うわ!また次が来たー…って…あれ…ここって…」 よくよく見ると、すぐ側には川があります。 どうたら川岸に寝かされているみたいですね。 「いきなり真花君が落っこちてきたときは驚いたにょ〜」 アホ魚は前より病気が進行した模様。 これが彼女の言う「もっとプリティーにキュートに」なのだろうか? 「でも私ちゃん、頑張って治療したんだにょ〜?そんな私ちゃんって最高の女の子だよね〜?」 残念ながら、この近くには精神病院、ましてや魚用なんぞありません。 「ねえねえ、真花君ってばぁ…え?」 「ふへ…ぐひゃひゃ…はふへ…」 明らかにおかしい真花少年。 一体どうなってしまったのでしょうか? …と言ったところで今回はお終い。 急ぐ翼、困る鱗奈、壊れた真花…果たして彼らの運命は!? 次回、ギョっとしてバット第四話「真花のヒミツ」に続く可能性83%!!