ギョっとしてバット 登場する連中 扇 真花(おうぎ まか)→15歳。主人公。 闇吸 翼(やすい つばさ)→人の話をあまり聞かないコウモリ女。吸血鬼に非ず。 流貝 鱗奈(ながい りんな)→ぱっと見幼女、中身ドス黒の魚女。人魚に非ず。 第四話・真花のヒミツ 毎度お馴染み、前回までのあらすじ 勝手に高校生になったら暇がなくなると思ったバカ男が一匹、バカの一つ覚えの様に通っていた山にやって来た。 そこで彼を待っていたのはコウモリと魚、二匹のバカ女。 見た目はまあ良いとして、「自覚のないストーカー」という最悪の肩書きを持つ二人に流石のバカ男もタジタジ。 何だかんだで逃げ回っている内に、川岸で目を覚ましたヤツは何か壊れた。 はた迷惑な展開になりそうな今回、どうなるもんかね? さあさあ、本編を開始しようか!! 「ぐわーっはっはっは!!」 「ちょっと、何なの!?落ち着けっての、もう!!」 いきなり暴れだした真花少年っを止めるべく、演技を捨てて飛びかかる鱗奈。 どうしてこうなってしまったのでしょうか? 実は彼、真花少年は極度の水恐怖症なのです。 運動はまあまあ得意な彼なのですが、泳ぎだけは何故かさっぱりで、しかも授業中に溺れてしまったのです。 クラスの皆に笑われ、人生最大の大恥をかいた真花少年… 以降川や海やプール等、水が多くあるのを見ただけで壊れてしまうようになってしまったのです!! 「あ〜もう!こうなりゃ強硬手段で…ゴメン!真花君!!」 暴走の止まらない真花の背後から、強力な蹴りを放つ鱗奈! 見事に首に命中し、変な音を立てながら真花は吹っ飛んじゃったけど…手加減したよね?鱗奈さん。 「てめえええええええ!!!!」 ここで面倒一つ追加! 木々に引っ掛かりながら真花を追いかけていた翼の登場だ! 「ちょっと待ってよ!コレは違うんだって!」 「ゆ〜る〜さ〜ね〜え〜…」 翼さん?めっちゃ正体出てますよ? 人間の原型残ってませんよ!?落ち着いて!? 「いいから聞いてよ!このコ、いきなり暴れだしちゃって、明らかに様子がおかしかったから一旦黙らせたのよ!」 「ああ!?暴走だァ…?」 シュウシュウしながらも、翼の姿が徐々に人間モードに戻っていく。 「本当だからね!取り敢えず、キッツい一撃やっちゃったからまずは治療しなきゃ!」 「チッ…ワケが分からねェが仕方ないか…じゃあオレんちに運ぼう。風通しも良いし、薬も揃ってる。」 「分かったわ。じゃあ私も行くから案内してよ。治療に関しては私、得意だから。」 そして二時間ほど経過。 飛べない鱗奈がいるので、地道に山道を歩いておりました。 「ん…ん?ここは…?」 「お、目を覚ましたぞ。」 「今日二回目よ?治療…疲れたー…」 「おわあ!!また出た!!」 どうにか目を覚ました真花少年の目の前には最早お馴染みのストーカーさんが二人。 やっぱり叫んで逃げようとしてしまいます。 「おい待て。いいから待て。命の恩人にソレはねェだろ?」 「へ…命の…?」 「そうだよ…私の一族に伝わる治療術を使って完璧に痛みを残すことなく治したんだから!逃げるのは流石に酷すぎ。」 「え?え?え?」 どうやら状況が掴めていない様なので、翼と鱗奈の説明講座が開かれました…が!! 既に知っている内容をちんたらかんたらと再見させられるのもキツいでしょうから、略します。 内容は「崖から落ちた〜暴れたので気絶させた」間の出来事です。 「はあ…そんなことが…それはどうもご迷惑をおかけしました。」 「全くだぜ。」 と言うかそもそもガケから落ちた原因はそこのバカコウモリだがな。 「アンタは二回目の場所提供しただけでしょ?にしても真花君、アレ何だったの?原因不明な暴走なら困るんだけど。」 鱗奈はもう演技を完全に止めました。 なんかもう無駄だと悟ったみたいです。 「ええと…近くに大量の水ってあった?」 「まあ、川なら。」 「それだ…俺、昔溺れて恥かいてから多く溜まっている水…プールとか海とか川とか見ると恐怖で壊れちゃうんだよ。」 ドス!! 鈍い音が聞こえた気がしますが、鱗奈が凹んだだけですので無視しましょう。 「マジかよ…トラウマってヤツか!そりゃまあ仕方ないっちゃないな。」 「しくしく…」 「あの…何でナガイさんは泣いているんですか?」 「ん?あー…まあここまで来りゃ分かるだろうけどさ、まずオレもこいつも人間じゃねーのな。」 「はあ…もうそれは流れで何となく分かりました。」 飛んだり、一族がどうのって言ったり、色々とありましたからね。 主人公って肩書きがなくても気付くレベルですから。 「んで、こいつは川に棲んでる一族じゃないかって話だ。」 「なるほど…って確実じゃないんですか?」 「だってオレ、こいつと面識ねーもん。今日会ったのが初めてだしよ。」 「うう…合っでる…」 「あ、そっか…二人とも俺を勝手に恋人に決めてるんだっけ。だから凹んだんだ…」 「勝手って何だよ!オレは正式にお前の…」 「ぢがうわよ!わだじのよ!」 鱗奈さん、会話に参加しても構いませんから、まずは涙を拭きましょう。 でないと何を言っているのか分かりにくいです。 「…よしOK。そうよ、私はこの山の裏の川に棲んでる魚人一族よ!棲家は水中!真花君が壊れちゃうね!あはは!」 壊れてるのはあんただ。 「因みにオレはコウモリだ。この山のリーダーもしてるからな、腕には自信があるぜ?」 「なるほど…それで、出来れば俺はどちらともお付き合いはまだ出来ないので帰りたいんですが…」 さらっと逃げようとする真花だけど、そう簡単にいくハズがない。 「おいおい、心配すんなって!オレは気にしねーぜ?」 「俺が気にするの!」 「うーん…気にしなくていいのにな〜」 話すだけ無駄なのがまだ分からないのか、このバカ男は。 話を聞かない相手には、話すだけ無駄だと言うに。 「アレだぜ?オレは空が飛べっからさ、お前がどっかから落ちそうになっても助けられるんだぜ?オレを選べって!」 「ちょっと、黙ってれば勝手言っちゃって!私だったら泳ぎを教えられちゃうよ〜?お姉さんに全部任せちゃわない?」 幼女にお姉さんとか言われる真花って一体…と言いたいところだけど、実は自然だったりするのだ。 「ぷはは!お前、どこがお姉さんなんだよ?オレならともかくよ…アッハッハ!」 「ふん、私は人間で言えば29歳くらいだから、15歳の真花君と比べたらお姉さんでしょ!?」 「ちょっ…29!?ショタコンじゃん!!」 驚く真花。 と言うか実際には人外なので長生き→もっともっと年上だったりする。 「はっはっは、ショタコンだってよー!!その点オレは人間年齢17!余裕!」 「なっ!?年齢なんて関係ないでしょ!?」 愛があれば何とやら…でも(人間年齢で考えても)14差は結構大きいよ?鱗奈姉さん。 「大体ね!私達と人間じゃあ寿命に差があるんだから、最初は多少離れていた方が良いのよ?その方が後々に真花君が先に年をとっていく  んだから、差が縮まるのが遅いもの!あんたじゃあっという間に真花君だけ年をとっちゃうからねー。うわー、あのおじさんロリコンだ  〜とか真花君が言われちゃうわよ?」 「ンだと!?今ならテメーが幼女過ぎっから、結局は真花はロリコンって言われるじゃねーか!大体オレ達コウモリ族は寿命そんなに長く  ないっつの!人間のおよそ1・5倍だ!だったら今くらいの年の差が丁度いいね!」 どっちにしても、真花は妖怪が彼女なロリコン野郎になってしまうみたいだね。 「むむ…どうやらあんたとは戦う運命みたいね!」 「ふん、オレとやろうってのか…?」 「おいおい、いい加減話を聞いてくれよ…俺は帰りたいっつの!」 その願い、叶えてあげましょうかねこのバカが仕方ないなやっちゃうよ? 「…?何だ?」 全く…三つの目を放っておいて正解。 所詮は私の毛ジラミか垢程度の存在のクセして… 「大地が…揺れてやがる!」 「何なの!?あーもう!一時停戦!!逃げるわよ!!」 「お、おっけー!!」 三人して飛び出してきた飛び出してきた… どれ、私も合わせてやるとするか…ほいっと! 「だ、誰だ…テメェは…」 「…ちょっと、気を付けたほうがいいわよ…こいつ、何かヤバい…!!」 「俺は…どうしたら…」 コホン、まずは世界を眺めている方々へ。 ここからはナレーションは私に融合帰還したので無くなります。 三人とも口調はバラバラですから、判断してやってね? さて、私は山神 闇江…初めまして? 「ど、どうも…あの、俺は無関係みたいなんでそろそろ帰り…」 「ちょっと待て真花…動くな!お前は弱っちいんだからそこに居ろ…」 「そうね。翼だったっけ?何か嫌な予感するから、二人でツブしときましょ?」 「へっ…お前と組むとはな…さっきまでは敵だったのによ!だがまあいい、やってやろうぜ!」 全く…さっきも言ったんだけど、私の毛ジラミや垢レベルが何逆らおうとしてるワケ? 邪魔だからどいて。 「なっ…」 「嘘…」 「え…手を軽く振っただけなのに…翼さん!?鱗奈さん!?」 ふう、飛んだ飛んだ〜、ばいばーい! だからレベルが違うって言ったのにね? 私は闇江。 闇江山は私。 私の中のほんの一粒程度であるあなた達が敵うワケがないのよ。 …と言ったところで今回はお終い。 次は…あら、もう最終話なのね。 ようやく私が出てきたのに…まあいいわ。 何だかザコがまだ歯向かって来そうでヤだけど、最後に笑うのは私よね。 では次回、ギョッとしてバット第五話(最終話)、闇江様の天下に続く〜 「違う!正しいタイトルは『終わりの始まり』だ!俺が頑張るしかないのか!?じゃあまた次回で!」