ギョっとしてバット 登場する連中 扇 真花(おうぎ まか)→15歳。主人公。 闇吸 翼(やすい つばさ)→人の話をあまり聞かないコウモリ女。吸血鬼に非ず。 流貝 鱗奈(ながい りんな)→ぱっと見幼女、中身ドス黒の魚女。人魚に非ず。 山神 闇江(やまがみ やみえ)→闇江山そのものの化身。すごく強いハズ。 ヤエ→山の精の一。礼儀正しく丁寧だが古風を好む一面アリ。 ミィ→山の精の一。口は悪いが声は可愛らしい(文では分からないけれど)。 マヤ→山の精の一。ちょっとおバカさんだがノリは良い。 第五話・終わりの始まり 真花きゅーん…と言いたいところだけど、まずは前回までのあらすじからね。 ザコ二匹は暴走した真花きゅんを止め、回復に成功。 だけどまたまたモメるは話を進めないはでついに私、山神 闇江が自ら出ることになっちゃったわ。 ずっと使い魔の妖精三匹にナレーションをやらせて見張っていたけれど…もう限界ね! 何がって? それは本編を見れば分かるわ。 では本編、開始〜 「く…くそ…二人に何をするんだ!酷いじゃないか!」 あら、真花きゅん何を言っているの?あなたにしつこく付きまとう変態女どもを片付けてあげたんじゃないの。 「真花きゅんとか言うな!確かに困ってたけど…他に方法があるだろ!ってかあんた誰なんだ!」 もう…煩いわね…言ったでしょ?私は闇江山…あなたがゾッコンのこの山自体よ。 尤も、今ここに居るのはあなたに姿を合わせた化身だけどね。 「な…山!?ってちょっと待て!コウモリ女やサカナ女とゴチャゴチャしてきた俺だ、今更山の化身とか言っても驚かない…が!」 何? 「ゾッコンって何だよ!きゅんとか気持ち悪い言い方するし…あんたも二人と同じ世界の方ですか!?色んな意味で!!」 …違…ウワヨ。 私ハソコノばかドモト違ッテ勘違イシテナイモノ… 「何でカタコトなんだよ!今ちょっと考えたら思い当たったな!?自分も一方的に決めてたって事に!」 な、だって毎年私の体で楽しんでたじゃない!るんるんって!! どう考えても私にゾッコンじゃん! 「じゃんじゃねえだろ…それに私の体で―とか勘違いされるような言い方すんな!俺は山歩きして楽しんだだけだ!その山が女性で、意識  しながら楽しんでました〜なんて人間は普通考えないっての!」 がーん…二人の愛は確実だと思ってたのに…ソンナバカナ。 「しっかしあんたも面白いな!口でがーんて言うなよ…何?人外って擬音も口で言うものなのか!?まあいいや、とにかく俺は帰る!もう  散々だ!せっかく中学最後の記念にって来たのに…台無しだ!!うわーん!」 うう、何でそんなに最後が情けないのよ… でもね…逃がさないわよ!!乙女の純情を踏みにじったその罰、その身に刻んでやるわ!! 「だー!!何でそうなるの…ってちょっと予想はしてたけど。でも逃げる!」 ふん、この山全体が私だってのにどうやって?コレは私の化身なんだから、自由に動かせるんだからね〜。 ほーらこうやってあなたの目の前にワープも簡単に出来るのよ!! はい、コンニチワ〜 「うわっ!マジで目の前に…た…助けて…」 ホントに情けないコ…でもそこがカワイイ♪ 「助けて!翼さん!!鱗奈さん!!」 「おお、任せろォ!!」 「真花君の為なら何だって!!」 「ダブル獣人キーック!!」 ぶほっ!! …もう復活したの…って、こら!地面蹴らない!何で化身を攻撃しないの!? 「だってよォ…化身なんてお前からしたら垢のカケラ一個みたいなモンだろ?だったら直接地面を響かせたほうが効くと思って。」 「私達二人でなら山一個くらい揺らせるしね。」 何たる不覚!これだから中途半端に力持った妖怪ってヤなのよ! こうなったらこっちも本気で相手をしなきゃね…神様の力を思い知らせてやるわ…!! 「二人とも無事だったんだ…良かった…」 「へっ、あんくらいでオレ等がくたばるかよ!さてと、鱗奈!そっちは任せるぞ!」 「分かってるわよ!アンタこそちゃんとやってよね?」 「おお?何だか知らないが、このノリは勝てる気がするぞ!?」 ふん、何をしようが山神たる私には無駄よ…消え失せろ!! 「おーい、お前ら!手伝え!!」 「みんなー、お願いねー?」 何をやって…って… おろ?体が動かな…え?え?何これ!! 動植物から水まで…私の体が私を押さえてるの!? 「どーだ?毛ジラミや垢の力は…人間で言うなら血や皮膚が逆らってるようなモンだ。流石の山神サンも動けねーだろ?」 ちょっ…みんなして私よりこいつらの味方するっての!? 私は神様よ!?逆らったら… 「あー、無駄だって。所詮は自分勝手な神様に付いて行く奴なんかいないんだから。私達のほうがカリスマがあるみたいな?取り敢えず、  皆、そのまま押さえていてね〜♪翼、こいつが動けなくなるまでさっきのアレね。」 「おうよ!さあ、おしおきタイムだ!!」 タンマタンマ!大体あんたらも私と立場そう変わらないだろって… ちょっ、止めて!お願い!分かった、謝るから〜… 「ダブル獣人キック!ダブル獣人キック!ダブル獣人…×∞」 ぎゃー… あー… … −三ヵ月後、闇丘高校 ああもう、まだ体が痛い…っといけないいけない、また蹴られる…ナレーションに徹しなきゃ。 あれから三ヶ月、扇 真花きゅ…真花は無事に高校生となりました。 闇江山を挟んで自宅とは反対側に高校があり、ちょっと自宅通いがキツいので一人暮らしまで始めちゃって。 入学後、たまたま見つけた山岳部に入って御満悦みたい。 さて…ヤエ、ミィ、マヤ、行ってきなさい!! …と言う事でやって来ました闇丘高校山岳部部室! 真花は…いた!! 「先輩、闇江山なら俺、詳しいっすよ!毎年歩きまくってましたから!」 「へえ…じゃあ次の土曜に皆で行きましょうか?扇君に道案内してもらって。私達、何気に地元だからって後回しにして、まだ登った事な  いのよ。」 「マジっすか?じゃ俺、頑張りますよ!」 おやおや、入部して間もないのに、真花少年はもう溶け込んだ様です。 笑顔が美しい清楚な部長さんと仲良さそうですね…まさか?なんちゃって。 そしてそのまま打ち合わせだけでこの日の部活は終わって、彼は帰路につきました。 楽しい部活の様でしたが、やっぱり色々と疲れているみたいです。 きっと帰ったらまずは寝ちゃうんでしょうね… 「ふう、ただいまー…」 ただいまって…家には誰もいないだろうが。 相変わらずバカだな。 「おかえりー!」 「メシ出来てるぞー、食うだろ?」 「…おおう!?」 こっちがおおう!?だ!何故か室内にはコウモリとサカナが!? まさかこいつら… 「ちょっ…また来たのかよ!」 またと来たもんだ。 「何だよ〜、ヤなのか?」 「そんなわけないよね〜?私たち、可愛くて健気だし!」 「自分らで言うなよ!ああもう…俺は一人で大丈夫だっての!!」 どうやら二人の獣人妖怪さんは押しかけ女房をしちゃってるみたいですねえ。 元々強引な二人だったけど…流石にまずいんじゃない? 「まま、落ち着けって!見ろよ、今日は鱗奈が初めて作ったハンバーグだぜ?オレが監督してたから、味は保障済みだ!」 「そうそう。まだ翼ほどじゃないけど、頑張ったんだから食べてよね!」 「…へいへい。まあ確かにウマそうだ。ったく仕方ねえなあ…」 おおい!そんな簡単に折れるのか!? 何だお前は、メシでほいほい釣られて! その二匹はストーカーだぞ!?確かにうちのアホ神とやり合って勝って、お前の危機は救った。 が!! あくまでそいつらはお前を勝手に恋人に位置付けてるんだぞ!?いいのか!? 「まあいつかはオレか鱗奈、どっちかが引かなきゃならねェからな。どっちが選ばれても大丈夫な様、互いに家事を教え合って頑張ってる  んだぜ?」 「ま、私のほうが呑み込みが早いから、選ばれるのは私だろうけどね!」 「ンだとォ!?言ってくれるな!!」 「おいおい、ケンカなら外でやってよ〜?大体、必ず二人から選ばなくちゃいけないワケじゃないんだしさあ…」 「がびーん!」 「痛いトコ突くわね…」 …どうやら真花少年は状況をとりわけ悪くは思っていないみたいですね。 家事から生活費稼ぎの手伝いから食材確保まで勝手にやってくれる便利な二人なので、ちょっと良いと思っているんでしょう… しかしまあ、何だかんだ言って楽しそうに騒ぐ三人ですこと。 これはもう黙っていられないでしょう行っちゃおうか今すぐ行くっつの集合命令!! 合身…完了!さて… ちょっと!私をナレーションに追いやって随分と楽しくやっちゃって!! ズルすぎ!私も混ざりたい! 「バーカ、山神様ともあろうお方がほいほいと出歩けるワケねーだろが!はい、帰った帰った!」 「帰らないと…水を…フフ。」 うう〜…私は神様なのにー、覚えてろー…カリスマ高めていつかぶっ飛ばしてやる〜 …と、言うワケで、三人のクソムカつくほどに楽しい生活が始まっちゃったのでした… サカナもコウモリも※※も… みんな似たようなモノのくせに!! さあ、これから果たしてどうなることやら? とりあえずは真花きゅんの来る土曜日を楽しみにしつつ…皆さん、さよーなら! 「よーし、今日はカラオケ行こうか?暇だし。」 「お、ナイスアイデアだぜ真花!」 「ふふん、私の美声で真花君を虜にしちゃうわ〜」 …やっぱり私も混ぜろーー!! お・し・ま・い!!