用語の説明

1.発酵法

ビールの発酵方法には、以下のような3種類があります。

発酵方法 説明 主なビールの種類
下面発酵

下面発酵酵母を使用し、低温(6〜15℃)で発酵を行い、発酵が終わると酵母がタンクの底に沈降するためこのように呼ばれる。
19世紀以降、世界的に主流となっているビール。

ピルスナー、ラガーなど

上面発酵

上面発酵酵母を使用し、常温(18〜25℃)で発酵を行う醸造法で、発酵中に酵母が浮上し、液面に酵母の層ができることからこのように呼ばれる。

イギリスでは現在でもこのタイプが多く残っている。

エール(イギリス)、ヴァイツェン(ドイツ)、スタウト(イギリス、アイルランド)など

自然発酵

麦汁を浅い容器で空気にさらすことで発酵室内の空気中、壁、天井付着の野生の酵母を使って発酵させる醸造法。 長期熟成が特徴。

ランビック(ベルギー)



2.ビールの種 類・分類

公式のビールの品評会などでは、ビールの種類は80種類以上に細かく分類がなされていますが、ここでは以下のように大まかに分類します^^;

発酵方法 種類 備考
下面発酵 淡色

ピルスナー

チェコ、ボヘミア西部の街ピルセン(Pilsen)で開発されたビール。「ピルスナータイプ」との決定的な違いは、ザーツ(Saaz)地方で取れる良質のホップを使用していること。

ピルスナータイプ

上記以外の世界中で作られている淡色ビール

■ボヘミアスタイル ピルスナー

■ミュンヒナースタイル ヘレス

■ヨーロピアンスタイル ピルスナー

アメリカン・ラガー

コーンスターチなどの副原料を多めに使い苦味抑えたビール。清涼感を出すため炭酸ガスが強め。

エクスポート(ドルトムンダー)

ドイツ、ドルトムント(Dortmund)地方のビールであり、ピルスナーより淡色で苦味も弱い。

中濃色

ウィーンビール

1841年、Anton Dreherによってウィーンで開発された赤褐色のビール。しかしその後のピルスナー人気に押され、廃れてしまう。現在ではオーストリアからメキシコに移住したビール職人によりメキシコで生産され、また北米でも多くの醸造所で造られている。

濃色

(黒ビール)

ミュンヒナービール

ドイツ黒ビール

19世紀の後半にミュンヘン(München)で発達した濃色ビールで、麦芽の香りが強く、苦味は少ない。ミュンヘン麦芽と色麦芽を使用する。

■ジャーマンスタイル メルツェン/オクトーバーフェスト
■ヨーロピアンスタイル ダーク/ミュンヒナー・デュンケル
■ジャーマンスタイル シュヴァルツビア

ボックビール

北ドイツのアインベック(Einbeck)で開発されたしたビール。Einbeckが「ein Bock(ドイツ語で一匹の雄ヤギ)」の発音に似ているため、こう呼ばれるようになった。ラベルのデザインに角を生やした雄ヤギが使われることが多いのもこのためである。

春に飲むために冬に醸造を始める。アルコール度数が高い。

■トラディショナルボック
■ジャーマンスタイル ヘレスボック/マイボック
■ジャーマンスタイル ストロング・ドッペルボック
■ジャーマンスタイル アイスボック

上面発酵 淡色

ペールエール

イギリスのバートン(Burton)を代表とするビール。アルコール度数が高く、酸味があって苦味が強い。

ケルシュ

ドイツ、ケルン(Köln)地方で造られるビールで、炭酸ガスが弱く泡立ちも少ない。他の上面発酵ビールと比べると低い温度(15〜20度)で発酵させる。透明で黄金色であるためピルスナーと混同されるが、発酵方法が全く異なるビールである。

ヴァイツェン

ドイツ、バイエルン(Bayern)地方の小麦麦芽を使用したビール。イ−ストが残っていて白く濁ってる。いわゆる白ビ−ル。ヴァイツェン(Weizen)はドイツ語で「小麦」の意。

中濃色

ブラウンエール

20世紀初頭にイギリスで開発されたビール。アルコール度数が低く、甘味が強い。

アルトビール ドイツ、デュッセルドルフ(Düsseldorf)で開発されたビール。アルト(Alt)はドイツ語で「古い」の意。発酵方法が古来のもの(上面発酵 )であることに由来する。
濃色

スタウト

アイルランドのギネスを代表する濃色ビールで、苦味が強く、アルコール度数も高い。

ポーター 18世紀にイギリスで開発された濃色ビール。高度に乾燥させた大麦麦芽と軟水を用いて造られる。


3.原麦汁濃度

ドイツ語で「Stammwürze」または「Stammwürzegehalt」と 呼ばれる。英語では「Original Gravity」。

発酵前の麦汁に含まれる糖分、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、麦芽とホップから抽出されたエキスの麦汁全体に対する割合を示すもの。この濃度が出来上がるビールのアルコール度や栄養価を決定する重要な指標となり、高いほどアルコール度数も高くなる。

 

ドイツではこの濃度によりビールの種類が以下のように分類され、高いほど税率も高くなる。

麦汁濃度

名称

16%以上

Starkbier シュタルクビア

11〜16%未満

Vollbier フォルビア

7〜11%未満

Schankbier シャンクビア

7%未満

Einfachbier アインファッハビア



4.参考価格

私が良く利用するオーストリアのスーパーマーケット・チェーン「Merkur」での標準価格。セール価格ではありません^^

1ユーロ=140円で計算しています。